経理代行と記帳代行の違いは?それぞれのメリット・注意点・費用も解説!
インボイス制度で負担の大きくなる経理業務をアウトソーシングしたい。しかし経理代行と記帳代行の違いは?どちらを選べばいい?悩んでいる方に向け、それぞれのメリット・注意点から、費用目安、利用がおすすめの企業まで、経理代行と記帳代行の違いを解説していきます。
記帳代行とは
記帳代行とは、領収書、請求書など、日々の取引書類を仕訳して会計ソフトに入力し、帳簿を作成する業務を代行するサービスのこと。使いやすいSaaS型会計ソフトが多数登場したため、自社で記帳する企業は増えている一方、今後、ますますニーズが高まると予想されるBPOサービスでもあります。
なぜなら、2014年から白色事業者を含むすべての事業者に記帳が義務付けられていること。2023年10月に施行されたインボイス制度により、記帳業務の負担増が予想されるからです。記帳代行なら、必要書類を依頼先に渡すだけ。業務負担を大きく軽減可能です。
参考:国税庁
記帳代行を利用するメリット
取引書類を日々仕訳処理する記帳業務は、リアルタイム性が強く求められるものではありません。そのため、ついつい後回しにして書類をため込みがち。記帳代行を利用することで、こうした課題を解決し、さらに以下のようなメリットが得られます。
- 人材不足解消、業務負担の軽減
- コア業務への集中
- 生産性向上
経理代行とは
経理代行とは、文字通り経理業務の一部、またはすべてを代行するサービスのこと。経費精算、決算書の作成、確定申告 / 法人税申告など、記帳だけではないさまざまな経理業務を代行するBPOサービスです。依頼先によって対応できる業務は異なりますが、経理代行に依頼できる主な業務は以下の通り。
- 給与計算
- 年末調整
- 青色申告決算書作成 / 確定申告
- 決算書作成 / 法人税申告
経理代行を利用するメリット
給与計算、決算書作成 / 申告など、経理代行の領域になる経理業務は、特定時期に集中した作業を求められることが特徴。これは、繁閑期の人材リソース配分が非常に難しいことを意味します。経理代行を利用することで、こうした課題を解決し、さらに以下のようなメリットが得られます。
- 過剰人員 / 人員不足の解消
- 余剰人員をコア業務へ振り分け可能
- 業務効率化 / 生産性向上
- 経理業務コストの最適化
経理代行と記帳代行の違いは業務範囲
ここまでの解説でお分かりのように、経理代行と記帳代行の違いは、対応業務の範囲です。経理代行サービスであれば、ほとんどが記帳代行に対応できるため、記帳代行は経理代行に含まれるともいえます。
ただし、上述したように「対応できる業務はサービスによって異なる」ことを覚えておきましょう。どのような経理業務をアウトソーシングしたいのかを明確化した上で、各サービスの対応業務を確認することが重要です。
経理代行 / 記帳代行の注意点は?
経理代行 / 記帳代行は、業務負担や人材面の課題を解消し、生産性向上 / コストの最適化というメリットをもたらしますが、注意点もあります。具体的には、会計・取引書類を依頼先に渡すこと、経理業務を一任することによる懸念です。
- 経理業務のノウハウを蓄積できない、人材育成が困難
- 会計面から見た経営状態の把握に遅れが生じる
- 情報漏洩などのセキュリティリスクがある
セキュリティに関しては、体制 / セキュリティへの取り組みが万全な依頼先を選定することで、リスクを最小化可能。ただし、人材育成や数値確認のタイムラグという課題の解決は困難です。
経理代行 / 記帳代行は税理士以外に依頼できない?
税金と密接に関連する経理業務は、税理士しか代行できないのではないか?そう考えている方も少なくないでしょう。なぜなら「税務書類の作成」「税務代理」「税務相談」は、税理士のみが代行 / 遂行できる「独占業務」だからです。
それは事実ではありますが、税理士事務所や税理士法人以外にも、経理業務をワンストップで依頼できる場合があります。たとえば、税理士が所属する経理代行会社、税理士事務所と提携する経理代行会社なら、年末調整や決算・申告も代行可能です。
経理代行 / 記帳代行はどこに依頼できる?
経理代行 / 記帳代行を依頼できるのは、大きく「税理士事務所 / 税理士法人」「公認会計士 / 監査法人」「経理代行 / 記帳代行BPOサービス」の3つ。ただし、依頼先それぞれの特徴、メリット / デメリットは異なり、提供できるサービスも事業所ごとに異なります。
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特徴 |
メリット |
デメリット |
税理士事務所 / 税理士法人 |
・経理業務の代行にワンストップで対応可能 ・税務相談や経理コンサルティングに対応 |
・税務申告の信頼性が高い ・節税に関するアドバイスを受けられる |
・費用はBPOサービスよりも高め ・代行の前提として顧問契約が 必要な場合もある ・作業量が増えると対応できない 場合もある |
公認会計士事務所 / 監査法人 |
・税理士が所属する事務所 / 法人なら 経理業務の代行ほとんどに対応可能 ・会計監査に対応 |
・IPO準備企業 / 上場企業の会計監査 |
・費用はBPOサービスよりも高め ・代行の前提として顧問契約が 必要な場合もある ・作業量が増えると対応できない 場合もある |
経理代行 / 記帳代行サービス |
・経理業務ほとんどの代行に対応 ・税理士と連携するサービスなら 年末調整 / 決算・申告にも対応可能 |
・代行費用を抑えやすい ・仕訳数などの業務量が多くても対応可能 |
・税務相談や会計監査には対応できない |
経理代行 / 記帳代行の費用目安は?
記帳代行の費用体系は、1仕訳ごとの単価、あるいは仕訳数に応じた月額料金、どちらかで設定される場合が多いようです。いずれの場合も、1仕訳ごとの単価目安は50円〜100円程度を見ておけばいいでしょう。
仕訳数 |
月額料金の目安 |
〜100 |
10,000円程度 |
101〜200 |
15,000円程度 |
201〜300 |
20,000円程度 |
301〜400 |
25,000円程度 |
401〜 |
30,000円〜 |
給与計算、決算・申告など、記帳代行以外の主な経理代行の費用目安は、以下の通りです。
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費用の目安 |
給与計算 |
1,500円〜2,000円 / 従業員1名 |
年末調整 |
1,000円〜2,000円 / 従業員1名 |
確定申告 |
50,000円〜(年商に応じて変動) |
決算・申告 |
150,000円〜250,000円(会社規模 / 年商に応じて変動) |
経理代行の料金相場については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:経理代行の料金相場|業務ごとの料金目安・ニーズに応じた適切な依頼先を解説!
経理代行 / 記帳代行がおすすめの企業は?
経理担当者のいない個人事業主、経理部門に大きな負担を強いている中小企業などは、経理代行 / 記帳代行の利用がおすすめ。また、IPO準備企業、中堅 / 上場企業などは、税理士 / 公認会計士と顧問契約を締結する一方、日々の経理業務を外部にアウトソーシングする方法もあります。業務効率化 / コスト最適化によって生産性の向上も見込めるでしょう。
ただし、経理代行 / 記帳代行に依存しすぎるとデメリット面が大きくなることには注意が必要です。
【まとめ】経理代行と記帳代行の違いやメリット・注意点を紹介しました
インボイス制度で負担の大きくなる経理業務をアウトソーシングしたい。しかし経理代行と記帳代行の違いは?どちらを選べばいい?悩んでいる方に向け、それぞれのメリット・注意点から、費用目安、利用がおすすめの企業まで、経理代行と記帳代行の違いを解説してきました。
経理代行 / 記帳代行は、うまく利用することで大きなメリットを得られるサービスですが、依頼先によって特徴が異なることも事実。それぞれの特徴を把握し、状況に応じて使い分けていくことがポイントです。